●松戸市漁協の稚アユ漁の様子

江戸川水閘門の上流・松戸市漁協で稚アユ漁が行なわれていると言うので、試験に使うアユを購入するので事前に視察をしてきました。

防災用の船着場から漁師さんの船に乗せてもらって網場に行くことに・・・しかし、ビルが立ち並び車がひっきりなしに行きかう都会の中でアユ漁とは・・・なんかそぐわないですね。
網場に到着、川岸から川の中に向かって、また下流方向にカーブを描いて竹を立て網を張ってあります。それに遮られたアユは戻ろうと網伝いに下るとその下に仕掛けられた袋状の網に入ってしまい戻れなくなると言う仕組みです。
袋網は水中に入っていてみえません。

今年は水量が少なくて(降雪量が少なく雪解け水が少ない?)水閘門の開閉も極端に少なく、川の流れがないため不漁のようです。

それでも、下流の水閘門にはアユを密漁する人々が100人以上居ましたが・・・。
捕れたアユを入れておく生簀です。今回は3つでしたが捕獲量が多いときは5つ以上になるそうです。生簀ごと船着場まで持っていって出荷するのだそうです。
生簀の中に入っているアユを見せてもらいましたが、元気一杯跳ねていました。水閘門のあたりでは、海から上がったばかりでまだまだ体が締まっていないのだそうですがここまで来ると締まってくるのだそうです。

このアユ達が群馬まで無事到着して元気に育ってくれることを祈るばかりです。

●江戸川の稚アユ救出作戦(平成18年4月22日)

第2回江戸川の稚アユ救出作戦

(開催の報道記事:上毛新聞PDF
)

2006年4月22日(土)江戸川水閘門にて

利根川江戸川流域ネットワーク(TONE-E-DOネット)開催の第2回江戸川の稚アユ救出作戦に参加してきました。
群馬からは前橋荒牧小学校の親子30名、日本一のアユを取り戻す会大塚会長ほか12名、県から3名、前橋市2名の合計47名が参加しました。
会場は江戸川水閘門で国交省江戸川河川事務所にバスを置いて水門を渡った中州です。

江戸川水閘門

堂々とアユを釣る密漁者

釣られたアユ
(これでいいのだろうか?)

会場へ行く途中の堤防にも橋の上にも稚アユを釣る人が沢山(100名程度・沢山つれているときはもっと沢山いるそうです)いました。
漁業調整規則で5月一杯はアユを釣ってはいけないし、10cm以下のアユも釣ってはいけないのですがこの有様です。
多いときは一人1000匹も釣れるそうです。
試算してみると100名×300尾×40日=120万尾となります。江戸川に上がってくるアユは一説には300万尾と言われているので、その4割が釣られてしまうことになります。
カワウよりたちが悪いですよね。昨年、利根大堰を越えて上流に上がった稚アユはたったの16万尾だったのですが・・。何とかならないでしょうかね!
開会式
大塚会長のあいさつ
稚アユを観察する子供達
開いた閘門を通過
開いた閘門
頑張って漕いで
(式の様子)

首都高の渋滞のためバスの本隊は開会式に30分ほど遅れてしまったのですが、私達の自家用車班は何とか間に合いました。
利根川江戸川流域ネットワークの参加者が100名以上参加していました。
主催者あいさつの後、紙芝居、アユ救出作戦の説明が行われました。

その後、Eボートに子供達が乗って通ることで閘門を開けさせる作戦に入りました。
この時に閘門内の水路に一緒に入った稚アユが上流に登るだろうと言う発想で作戦を実施しています。
荒牧小の子供達も利根川江戸川流域ネットワークに参加した子供達の後にEボートに乗せてもらって往復してきました。
荒牧小の子供達は元気よくオールをこいでいました。「楽しかった」「もっと乗りたかった」などと本当に喜んでいました。
アユの子供達が沢山に江戸川を上がって前橋まで無事に到達することを祈っています。
群馬のアユは江戸前のアユ!!
(コラム)

群馬のアユは、江戸川のアユ!

利根川のアユ、特に群馬県まで遡上してくる天然のアユは「江戸前のアユか?」それとも「九十九里産のアユか?」と言うことについて考えてみたいと思います。 

利根川は下流の茨城県、埼玉県、千葉県の県境付近の関宿というところで利根川本流と江戸川に分かれます。利根川は江戸時代よりも昔は東京湾に流れ込んでいました。
また、これと平行して渡良瀬川も東京湾に流れ込んでいました。その東側を流れる鬼怒川が銚子の太平洋に流れ込んでいたのですが、徳川家康が江戸に入城してから江戸を水害から守るためと水戸方面からの水運を作るために利根東遷と言う大事業を始め、利根川と渡良瀬川・鬼怒川をつないで、現在のように銚子で太平洋にそそぎこむ利根川の流れをつくりました。
そして古い利根川は埋め立てて昔の渡良瀬川を使って東京湾に流れ込むようにしたのが江戸川です。

ですから、今でも利根川は分流とは言え江戸川を通じて東京湾とつながっていて、その波打ち際はアユの子の絶好のゆりかごとなっています。この東京湾で大きくなったアユは桜が咲く頃に荒川や多摩川、江戸川に大量に遡上しているのです。

ところが、荒川の秋ヶ瀬取水堰や多摩川の調布取水堰には魚道があるのですが、残念なことに江戸川の場合は水閘門(洪水を流す水門と船を通す閘門が一体となった施設)というのがあって魚道が無くアユの遡上をさまたげています。
水閘門が開くのは、水量が増えた時や舟が通る時だけですが、その時にうまく通過したアユだけが利根川水系にのぼってくるということが分かっています。
そして水閘門より上流で漁協が待ち受け網などで採捕して放流種苗として売っている事実もあります。

このため利根川本流だけでなく江戸川ルートのアユものぼれるようにする必要があるのではないか。いや、むしろ江戸川のアユの方が群馬県の天然アユには重要なのではないかと考えています。

そして、海からの距離を調べてみると、利根川河口から前橋までは200kmもあるのに比べ、一方の江戸川は河口から137kmと63kmも短かく、1日にせいぜい2〜3kmくらいしかのぼらないと言われているアユですので、80日もかかってのぼるのと55日弱で到達するのとでは1ヶ月近くの大きな違いがあることも分かりました。
つまり、同じ3月下旬にのぼりはじめたとしても江戸川のアユは利根大堰をゴールデンウィークのころ通過して5月中旬には前橋あたりまで来ていることになるのですが、九十九里産のアユは5月下旬にやっと利根大堰を通過して、前橋には6月中旬ころに着く計算になるのです。実際には銚子からのアユは水温の関係でのぼりはじめが遅くなっています。
さらに利根川河口には河口堰があって、その魚道はアユにとってのぼりづらいとも言われていますので、量は少ないのではないかと考えられますし、アユは水温が高く、水質の良い川を好むと言われていますので、途中にある鬼怒川や渡良瀬川を選んでのぼる可能性が高く、利根大堰をこえて群馬県までのぼってくるアユは少ないのではないかとも言われています。


つまり「群馬県内の利根川に遡上してくるアユは、銚子からのぼってくる九十九里浜育ちのアユよりも江戸川をのぼってくるアユの方が多いのではないのか?」・・・東京湾育ちのアユ=江戸前のアユ・・・と思われるのです。


このようなことから、利根川のアユの生態を研究する必要性が出てきますし、江戸川からのぼってくるアユのため川の連続性を確保する施策が重要ではないでしょうか?

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