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アユは鮎の他に香魚とか年魚といわれます。年魚は名前のとおり1年で生活を完結します。
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秋遅くに川の中流から下流域の産卵場に生み着けられた卵からふ化して仔魚は海へ降ります。
→孵化までの時間は水温によって異なり、15日〜30日前後になります。
→孵化直後は砂礫の中に潜み、日没後に孵出して流れに漂い、遊泳力が着いてから降河します。
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仔魚は春まで海で過ごして春に稚アユは川を遡上し始めます。
→河川水の水温が海水の水温とほぼ等しくなる時期に遡上を開始します。
→稚アユは成長するに従って冷水を選ぶようになります。6cmくらいだと11℃〜15℃
→海水から淡水へ水質選好性が変わっていきます。
→アユは明らかに濁った水よりも清水を選びます。(濁りはストレスであり冷水病の原因となります)
→濁りなどで下ってしまったアユが差し直すことはほとんどないようです。
→稚アユの遡上は水温に影響されるので西の方が早く、太平洋側の方が日本海側より早まります。
→移動速度は4kmを3〜5日で遡上するようです。
→稚アユは体長6cm内外まで動物性プランクトン、7〜8cmで動植物の混食です。
→9cm以上で植物食になります。最近の研究ではもっと小さい時期からという研究もあります。
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川を遡上したアユは、中流域まで達して定着します。
→遡上したアユが解禁までの間に生き残る率は30〜60%前後と推定されています。
→放流アユについての生存率は群馬県の温川で65.5%と48.6%という結果があります。
→アユの口は大きく歯が櫛の歯のように並び石の表面に付着した藻類を食べやすくなっています。
→藻類の種類としては珪藻や緑藻・藍藻で、1日に体重の35〜50%の量を食べています。
→成長は水温の影響が大きく、水温の高い地方ほど成長が良くなっています。
→生息密度は天然でばらつきがあり、0.1尾/u〜0.5尾/uとなっています。
→生息数の多い川は魚体が小さく、少ない川は魚体が大きくなります。
→実験的には1尾/uが個体の成長、群の増重とも比較的良いとの結果があります。
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中流域に達したアユは強いなわばりを形成します。
→なわばりの広さは1平方メートル内外で、2〜3平方メートルの範囲を泳ぎ回ります。
→なわばりを持つことができたアユ以外に群をなして泳ぐ「群れアユ」が生息します。
→なわばりアユの成長は群れアユの成長より明らかに良くなります。
→なわばりアユの攻撃回数は200秒間に9〜11回といわれます。
→攻撃の合間にも餌を独占して200秒間に10〜12回食べ、速やかに成長します。
→群馬県産の人工アユは200秒間に17回攻撃します。「けんかっぱやい」所以です。
→なわばりを持ったアユほどけんかでストレスがたまり、冷水病にかかりやすくなります。
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春から夏にかけて成長したアユは、秋になって下流域まで降りて産卵して一生を終えます。
→アユの成熟は秋に急速に早まります。主な原因は日照時間が短くなることにあります。
→産卵期は東北が早く九州が遅く、日本海側が早く太平洋側が遅くなります。
→産卵期は9月下旬〜12月上旬で10月中旬〜11月上旬が最盛期になります。
→群馬県産アユの産卵期は天然アユよりも早まります。このため下る時期が早くなります。
→早期に海に下った仔アユは水温が高く死滅し、次年度の遡上に寄与できません。
→産卵場所は河川の勾配が急に緩やかになった、砂礫状で浮き石の多い瀬が好まれます。
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