アユの話

アユについて
アユの生態について
アユの性格について
フクちゃんのアユと川の部屋(PDFファイル)

戦前のアユ事情

(アユの人工生産)群馬県産アユの人工生産の過程をご覧ください。


アユについて
 アユの生活史は、秋に川を下ったアユは中流から下流の細かい石がたくさんあるところで卵を生みます。孵化した仔魚は流下して、冬の間海で過ごして、春に遡上を始めます。
 利根川だと4月上旬くらいです。中流域まで達したアユは、石についたコケを食べて大きくなります。そして日照時間が短くなる秋に川を下って卵を生むといった1年で一生を終える魚です。
 放流アユも、4月上旬頃から各漁協が管理する河川に7〜10gぐらいの稚魚を放流します。あとは天然と同じにコケを食べて大きくなります。群馬県内で放流している種類は群馬県産人工アユ、海産系人工アユ、琵琶湖産アユなどです。琵琶湖産アユは冷水病に感染している恐れが多分にあって今はあまり入れていません。
 また、人工アユや湖産アユは成熟が早く、したがって産卵も早く、仔魚が孵化して海に下っても海水温が高くて死滅してしまって次年度の遡上には寄与していません。
(アユの生態)
* アユは鮎の他に香魚とか年魚といわれます。年魚は名前のとおり1年で生活を完結します。

* 秋遅くに川の中流から下流域の産卵場に生み着けられた卵からふ化して仔魚は海へ降ります。
 →孵化までの時間は水温によって異なり、15日〜30日前後になります。
 →孵化直後は砂礫の中に潜み、日没後に孵出して流れに漂い、遊泳力が着いてから降河します。

* 仔魚は春まで海で過ごして春に稚アユは川を遡上し始めます。
 →河川水の水温が海水の水温とほぼ等しくなる時期に遡上を開始します。
 →稚アユは成長するに従って冷水を選ぶようになります。6cmくらいだと11℃〜15℃
 →海水から淡水へ水質選好性が変わっていきます。
 →アユは明らかに濁った水よりも清水を選びます。(濁りはストレスであり冷水病の原因となります)
 →濁りなどで下ってしまったアユが差し直すことはほとんどないようです。
 →稚アユの遡上は水温に影響されるので西の方が早く、太平洋側の方が日本海側より早まります。
 →移動速度は4kmを3〜5日で遡上するようです。
 →稚アユは体長6cm内外まで動物性プランクトン、7〜8cmで動植物の混食です。
  →9cm以上で植物食になります。最近の研究ではもっと小さい時期からという研究もあります。

* 川を遡上したアユは、中流域まで達して定着します。
 →遡上したアユが解禁までの間に生き残る率は30〜60%前後と推定されています。
 →放流アユについての生存率は群馬県の温川で65.5%と48.6%という結果があります。
 →アユの口は大きく歯が櫛の歯のように並び石の表面に付着した藻類を食べやすくなっています。
 →藻類の種類としては珪藻や緑藻・藍藻で、1日に体重の35〜50%の量を食べています。
 →成長は水温の影響が大きく、水温の高い地方ほど成長が良くなっています。
 →生息密度は天然でばらつきがあり、0.1尾/u〜0.5尾/uとなっています。
 →生息数の多い川は魚体が小さく、少ない川は魚体が大きくなります。
 →実験的には1尾/uが個体の成長、群の増重とも比較的良いとの結果があります。

* 中流域に達したアユは強いなわばりを形成します。 
 →なわばりの広さは1平方メートル内外で、2〜3平方メートルの範囲を泳ぎ回ります。
 →なわばりを持つことができたアユ以外に群をなして泳ぐ「群れアユ」が生息します。
 →なわばりアユの成長は群れアユの成長より明らかに良くなります。
 →なわばりアユの攻撃回数は200秒間に9〜11回といわれます。
 →攻撃の合間にも餌を独占して200秒間に10〜12回食べ、速やかに成長します。
 →群馬県産の人工アユは200秒間に17回攻撃します。「けんかっぱやい」所以です。
 →なわばりを持ったアユほどけんかでストレスがたまり、冷水病にかかりやすくなります。

* 春から夏にかけて成長したアユは、秋になって下流域まで降りて産卵して一生を終えます。
 →アユの成熟は秋に急速に早まります。主な原因は日照時間が短くなることにあります。
 →産卵期は東北が早く九州が遅く、日本海側が早く太平洋側が遅くなります。
 →産卵期は9月下旬〜12月上旬で10月中旬〜11月上旬が最盛期になります。
 →群馬県産アユの産卵期は天然アユよりも早まります。このため下る時期が早くなります。
 →早期に海に下った仔アユは水温が高く死滅し、次年度の遡上に寄与できません。
 →産卵場所は河川の勾配が急に緩やかになった、砂礫状で浮き石の多い瀬が好まれます。

(アユの性格)
 琵琶湖産のアユは友釣りに適しているといわれ、国内各地に稚アユとして出荷されています。湖産アユにはオオアユになって川に遡上するグループと琵琶湖内に残ってコアユになるグループがあります。このグループが毎年、世代が変わるごとに交代しているという説があります。つまりコアユは産卵が早く孵化した子供は早く大きくなってオオアユになって川を遡ります。逆にオオアユは川を遡上して大きくなり産卵時期が遅くなるので、その子供はコアユになって湖内に残ると言うものです。ただし、各地の河川に放流された湖産アユの仔魚は水温と塩水の関係で降海しても死滅して再生産には寄与できないと言われています。

 海産アユにも湖産のような隔年性が起こっているのではないかという説がありますが、いまのところよくは分かっていません。海産系アユのなわばりを持つ性格は湖産系よりも強くなく追いが悪いといわれています。成熟が遅く産卵に川を下る時期も遅くなっています。そのため、遡上してたくさんのハミ跡があっても、7月過ぎでないと釣れないのが特徴だと言われています。

 人工アユも一般的には、追いが悪く群れていて釣れないと言う性格が多いようですが、群馬県産人工アユは34年にわたって継代し、追いの強いアユを選抜し残してきたため琵琶湖産アユよりも追いが良くなっています。ただ、一方では釣れすぎて小さいものまでかかってしまい、生息量が少ないとすぐに居なくなってしまうことと、継代によって成熟が早まったため、孵化した仔魚が降海しても時期的に水温が高く、死滅してしまい再生産に寄与しないという欠点もあります。

(アユの人工生産)
 群馬県産アユの人工生産の過程をご覧ください。

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